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重修本草綱目啓蒙
二十七/卵生虫
原蚕(○○) なつご(○○○) 一名蝩〈正字通〉
六月中旬の比、春蚕の雌蛾卵お紙上に産つけたる者、初は色白して形円に長く、頭に微尖あり、三日許お歷て、色黄に変じ、形扁く凹となる、又四日許お歷て、浅黒微紫色に変ず、又日お歷て頭尖黒色に変じ、漸く全く黒色となり、一日お歷て其尖より卵お穿ち生出す、此より漸く成長し、眠起すること、四度過て、繭お為し、蛾に化すること、春蚕と同して日数早し、薬には蛾と沙とお用ゆ、
雄原蚕蛾 なつごの蝶 雄お用ゆ、雌は用ひず、三才図会に、爾雅正義お引て、羅即是雄、蛾即是雌と雲ふ、広済譜に蛾出第一日者、名苗蛾、末後出者名末蛾、皆不可用、次日以後出者取之と雲、これは種お取る蛾お択ぶお雲、薬には必しも拘らざるべし、