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重修本草綱目啓蒙
二十七/卵生虫
蜜蜂 みちばち(○○○○)〈和名抄〉 みつばち(○○○○) へぼ(○○)〈信州○中略〉
蜜蜂は虻に似て狭小、黄蜂(やまばち)の形にして小なり長さ四五労微黄色、常に人おさヽず、これに触る時はさす、〈○中略〉凡そ蜜蜂、春の末、分れ飛て、一処に簇り、鞠の如くなりて、人家の檐、或は木の枝に下垂したるお、箱或は酒樽の内に蜜おぬり、この蜂お箒にて掃ひ落し入置けば、直にこの中に巣おかけ、蜜お醸す、この箱はたじの形にして、前におとし蓋の戸あり、屎お採り去り、或は巣お採る時に、この戸お開く、常は閉て下お微し開く、或は小穴お数多く鑽するも佳し、筑前にては、稲草(わら)にて、あみがさの形の物お作り、内の上の処に酒お塗り、蜂の多く簇りおる枝の上に蓋ひ置き弁より竹葉にて超ふときは、皆其中に入る、一蜂入る時は、衆蜂尋で皆入る、これお採り下して仰ぎ置、其上に箱お蓋ひ、絈にて裹み、一夜おけば、皆箱中にのぼり入るなり、