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古事記伝
四十一
〓(あむ)は〈延佳本に蝱と作るは、さかしらに改めたるなり○中略〉虻なり、書紀には虻とも蝱とも書れたり、〈虻と蝱とは同字也、〉和名抄に、説文雲、蝱齧人飛虫也、和名阿夫とあり、〓は字書には見えざれども、皇国にて、古に書ならへる字なるべし、然る類多し、〈師雲、〓と亡と同じければ、虻お〓と書るかと雲れたり〓と亡と同じきこと未考へず、若さることあらば、此説の如くにてもあるべし、字書お考るに、網網囡など同じき由あれば、亡おも通はして書るにや、字鏡に、〓奴可我、また虻虻同奴可我とあれば、〓と虻と通ふよしあるにこそ、〉