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重修本草綱目啓蒙
二十七/卵生虫
蜻蛉〈○中略〉
紺蠜 てふとんぼ(○○○○○) くるまとんぼ(○○○○○○)、〈土州〉てふ〳〵とんぼ(○○○○○○)、〈同上〉べんけいあけず(○○○○○○○)、仙台おしや〳〵んごろ(○○○○○○○)、〈勢州〉 かろく(○○○)、〈越前〉、 ころく(○○○)〈同上〉 一名紺翻、〈事物紺珠〉水蝏蝏、〈盛京通志〉此品大さ胡黎より微小にして、身短く翅闊く、倶に深黒色、翅の端は透明なり、高く樹上に群飛して地に下らず、その飛ぶこと蛺蝶に似て、蜻蛉の飛に異なり、別に一種くろとんぼ(○○○○○)あり、一名だん(○○)、〈筑前〉うしとんぼ(○○○○○)、〈播州〉うしやんま(○○○○○)、〈土州〉此は尋常の蜻蛉の形状にして、深黒色にして大なり、又一種やなぎじよろう(○○○○○○○)あり、一名かねつけじよろう(○○○○○○○○)、かねつけとんぼう(○○○○○○○○)、〈加州〉かはらとんぼ(○○○○○○)、〈同上〉かねうち(○○○○)〈薩州〉かはぼうり(○○○○○)、ちごぼうり(○○○○○)、〈共同上〉かうやとんぼ(○○○○○○)、〈濃州〉めくらとんぼ(○○○○○○)、〈雲州〉くろんとんぼ(○○○○○○)、〈備後〉こんとんぼ(○○○○○)、〈同上〉なんべあけず(○○○○○○)、〈仙台〉なべあけず(○○○○○)、〈同上〉力ねとんぼ(○○○○○)、〈若州〉おはぐろとんぼ(○○○○○○○)、〈土州〉はぐろとんぼ(○○○○○○)、〈同上〉やねとんぼ(○○○○○)、〈防州〉かげろう(○○○○)、〈江州〉かねかねとんぼ(○○○○○○○)、〈同上〉此品身甚瘠細く、綠色にして光あり、翅深黒色、水辺に飛翔す、草木に止る時は、四翅一に重て、尋常の蜻蜓の四翅排列するに異なり、これに一種黄褐翅なるものあり、又一種胡黎の大さにして、身黒く白糝(しろきこ)あるものお、しほからとんぼ(○○○○○○○)と雲、一名しほ(○○)、〈備前〉しほかい(○○○○)、〈加州〉又予州にては、身に灰と黒との横斑あるものお、しほからとんぼ(○○○○○○○)と雲、又一種身に黄と黒との横斑あるものお、こむぎとんぼ(○○○○○○)と雲、一名むぎはらとんぼ(○○○○○○○)、〈共予州〉 又一種身甚瘠小く、長一寸許にして綠色夏秋の間草菜上に飛ぶものあり、小とんぼ(○○○○)と雲、一名かげろう(○○○○)、〈東雅、石州予州、筑前、〉たなばたとんぼ(○○○○○○○)〈越前〉とのさまとんぼ(○○○○○○○)、〈同上〉かんな(○○○)、〈津軽〉かとんぼ(○○○○)、〈加州、同名あり、〉めくらとんぼ(○○○○○○)、〈江戸〉いととんぼ(○○○○○)、〈江州〉こあかいす(○○○○○)、〈琉球〉ちごくあけず(○○○○○○)、〈南部〉ぬいごとんぼ(○○○○○○)、是五雑組に、兆人指七月間、小蜻蜓為処暑と雲ものなり、処暑は七月の中なり、此品にも身正黄色なるものあり、 しほたき(○○○○)、〈筑前〉と雲、一名しほからとんぼう(○○○○○○○○)、〈備前〉 蜻蜓の品類猶多し、こヽ工具載せず、