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東雅
二十/虫豸
促織はたおりめ 蜻蛚こほろぎ 蟋蟀きり〳〵す 倭名抄に見えし所のごとき、今に至ては、古今の語、方俗の言、相混じて、分ち難し、漢人の説の如きも、亦是に同じかりけり、たゞ〈○中略〉我国に雲ふ所に就きて(○○○○○○○○○○)、其名お正すべき事なり(○○○○○○○○○○)、古にはたおりめと雲ひしものは、今俗にきりきりすといふ是也、古にこほろぎと雲ひしものは、今俗にいとヾといふ是也、古にきり〳〵すと雲ひしものは、今俗にこほろぎと雲ふ是也、もし漢字に就きて、其名お正しなむには、毛詩に雲ふ蟋蟀は、爾雅、及び方言に見ゆる如く蛩也、促織なり蜻蛚なり、〈○下略〉