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物類称呼
二/動物
蟋蟀こほろぎ(○○○○) 南都にてきり〴〵す(○○○○○)、又ころ〳〵し(○○○○○)と雲、江戸にてこおろぎ(○○○○)と雲、武蔵府中辺、及信濃奥州南部にてきり〴〵す(○○○○○)と雲、越後高田辺にてつゞりさせ(○○○○○)と雲、美作にてきりご(○○○)といふ、白石翁○新井君美曰、是古に雲きり〳〵す也、又古こほろぎといひしは、今いふいとゞ也、〈○中略〉又古はたおりめといひしは、今雲きり〳〵す也、小児籠にやしなふもの也、
竃馬いとゞ(○○○) 京にてくろゝ(○○○)、伊勢及四国にてかまご(○○○)、尾張にてかまぎりす(○○○○○)遠江にてかんなご(○○○○)、西国にてくろつゞ(○○○○)、又いひご( い /○○○)、近江にてくろ(○○)と雲、これ古こほろぎといひし物也、今いふこほ(お)ろぎの種類にして、小なる物也、竃のあたりにすむ、
莎鶏はたおりむし(○○○○○○) 伊勢にてやまぎす(○○○○)と雲、近江にてうりす(○○○)と雲、畿内にて小児きり〴〵す(○○○○○)と雲、東国にてきり〴〵す(○○○○○)、又ぎつす(○○○)と雲、又ぎつちよ(○○○○)など雲、其こえのぎいと鳴くは、はたおるまねきの音、ちよんと鳴くは、筬の音に似たりとて、いにしへはたおりめとよびしも、今きり〴〵すと、名の変じたる也、