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傍廂
前篇
鈴虫 松虫
色黒くして、首ちひさく、尻大にして、背すぼみ、腹黄白色にして、りヽりんとなくお、鈴虫といへど、これ松虫なり、そは松風の音に似たる故の名なり、〈○中略〉松風の琴の音にかよふと、歌にもよめるなり、たゞどう〳〵とふく風の音のみならば、松に限るべからず、松風に限りて琴の音にかよふは、りりりいんのひゞきあるゆえなり、