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倭訓栞
中編二十一/比
ひぐらし 和名抄に茅蜩およめり、日暮の義、おもひくらしの音になくなどよめり、上総にくつはぜみ(○○○○○)、又かな〳〵(○○○○)といふ、鳴声鈴音の如くにして甚高し、色は青綠なり、本草にもさいへり、顕昭は夕つかた鳴なりといへれど、朝ぼらけ日ぐらしの声聞ゆなりともよめり、されば昧爽には鳴とも、日出て後は鳴かず、実に暮おもて主とするおもて、名お得たるなり、