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四季物語

五月雨の晴間なき空も、いつしか名残なくなりて、雲の峯へ立ち重なり、いみじき金岡が手にも、かうやうには、たくみ得難う、稍の蝉の声々かしがましと、枕上うるさけれど、実にや里のかたへの、こほ〳〵と鳴る唐臼の音とは、やう変りたり、