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重修本草綱目啓蒙
二十八/化生虫
〓虫 通名 一名蚌虎〈潜確類書〉 壁蠹〈同上〉
〓の字省て䗪に作る、〈正字通〉俗字なり、古は舶来の全蝎の中に混入せるものあり 、今はなし、近年少少別に来りし残物あり、然れども皆砕折し、全き者は希なり、全形は円にして微長く、扁くして八分許、又小なる者あり、栗殻(くり)色にして、背に甲なく横紋多し、底に六足あり、首足の形甚だ飛蠊(あぶらむし)に似たり、薩州には四五分の長さなるものあは、今薬舗にて、和の〓虫と呼び売ものは、飛蠊の翅お去りたるものあり、又水虫、ごきあらひむし石州お売るものあり、皆非なり、ごきあらひむし(○○○○○○○)は、飛蠊より微し短く、上は形狭く、下は広くして硬甲あり、黒色微青にして、褐色のふくりんあり、池水或は流水の淵等に生じ、豉虫(まひ〳〵むし)と同く、時々水底より浮出て、水面にめぐる、一名どんがめむし(○○○○○○)、〈播州〉すつぽんむし(○○○○○○)、〈土州〉げんごろ(○○○○)〈江戸〉がまし(○○○)、〈南部〉唐山にては食用し、清商も貯へ来る、漢名竜虱〈五雑組〉と雲、〓虫の類に非ず、用べからず、又この一種に、甲黒して褐縁なきものあり、これも源五郎〈江戸〉と雲、奥州涌谷にては、二物通じて、がむしと雲江州にても通じて、おばと雲ふ、