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栗氏虫譜

われから(○○○○)尾州産、其地の方言也、是一種の水虫にして、海菜(のり)或は雑肴の中に交り上ものなり、一寸或は寸半許あり、二寸に至る者もまヽあり、色青し〈○中略〉われからくわぬ上人もなしと雲ること、能登国人の常諺なる由、輪池先生○屋代弘賢別に、詳説あり見べし、紀伊国にて雲、われから藻中に栖小貝なり、此も一説なり、然れども藻にすむ虫の説、穏当なりと、雲べし、尾張人、植松忠右衛門有信なるもの、屋代氏へ写贈の処の者なりと雲ふ、〈○中略〉われから此物海中藻にすむ小虫なり、形水虱に似たり、〈○中略〉佐州採薬錄にある図お以て、こヽに載出するもの也、〈○中略〉貝原翁の説、小貝にして、虫にあらずとす、〈○下略〉