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蜻蛉日記
下の中
れいのところにふみやる、さき〴〵のかへりごとゞも、みづからのとは、見へざりければ、うらみなどして、
ゆふざれのねやのつま〴〵ながむればてづからのみぞくもゝかきぬる、とあるお、いかゞおもひけん、しろひかみに、ものゝさきにして、かきたり、
くものかくいとぞあやしき風吹ばそらにみだるゝものとしる〳〵、たちかへり、
つゆにてもいのちかけたるくものいにあらきかぜおばたれかふかせん、といらべしかど、かへりごとなし、