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塵袋

一しらみの子(○○○○○)おば、きさヽと雲ふ歟、きさじ(○○○)と雲ふ歟、
文選には、浮蛾(ふき)さかきさヽとよめり、酒の上にものヽ白くうきたるが、しらみのこの如くなる心なるべし、これにはきさヽとよめれば、本説たしかなるうへ、順が和名にも蛾岐佐(きさ)々、虱子(しらみの)也と雲へり、但し大隅国には夏より秋に至るまでしらみの子おほくして、くらひころさるヽものあり、これお風土記に雲へるには、沙虱(さしつ)二字の訓耆小神(きさしん)と注せり、さてはきさしん(○○○○)とも雲べきにやとおぼゆ、