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魚は、いお或はうおとの雲ふ、又酒食の菜に充つるより、まな、或はさかなと称す、又上代に於ては、其大小お分つに、鰭広物(はたのひろもの)、鰭狭物(はたのさもの)の称あり、魚には淡水に在ると、鹹水に在るとの、別あり、而して鯊魚(はぜ)の如く、淡鹹の交に産するあり、鮭の如く、河お遡り、子お産して後、海に入るあり、鮎の如く、淡鹹の交に生じ、河お遡り、再び淡鹹の交に帰るあり、鱸の如く、河海の間に産し、河に遡りて、秋季海に入るあり、鯔の如く、淡水に生じて、漸次海に入るありて一ならず、魚類の中に其成長に従ひ、名お異にするものあり、鯔、鰤鱸等是れなり、魚類は多くは食用に供すれども、往々毒ありて害お為すものあり、河豚の如きは、或は人命お失ふに至る、
鯨、䱐〓(いるか)、鰐、山椒魚等の如きは、古来魚類と為せるお以て此に載せたり、