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重修本草綱目啓蒙
三十/附錄
鱁鮧 にべ(○○) 一名江伯夷〈水族加恩簿〉 魚膠〈附万〉 魚鰾膠 石首膠 魚縼膠〈共同上〉 魚白膠〈正字通〉此石首魚の白脬お以て造る膠なり、故に膠もにべと呼ぶ、海鰻驪の白鰾及鯉魚皮お以製する者甚つよし、舶来の魚膠は幅建の産と雲、方様、〈今はなし〉扁様、さほ様の三等あり、さぼ様は闊さ一寸許、長さ二尺余、黄白色にして一頭細し、魚腸なるべし、大坂の弓工は、鹿にべ、鮫にべお用ゆ、京師の弓工は専ら鹿にべお用ひ、魚膠は弱き故用ひずと雲、鹿にべは丹波より来る、火にて焼ときは甚臭し、その透徹する者お上とす、毛多くして濁る者は良ならず、用る時水に浸すこと一日許にして煮て用ゆ、然らざる時は弱し、 又唐韻に、塩蔵魚腸也と註するは、なしもの或ばくるかなり、香魚腸塩蔵する者おうるかと雲ひ、又しぶうるかと雲ふ、子のみお塩蔵する者はこうるかと雲ふ、棘鬣腸お塩蔵する者は、なしものと雲、諸魚も亦然り、沙潠腸はこのわたと雲、梭魚腸はしゆとうと雲、是皆食用の鱁鮧なり、本条は薬用の鱁鮧なる故に、魚膠お主として解すべし、