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一話一言
巻首
大阪状
一肴は堺より参り候てとかく高直也、当町少きは、いはし、〈ひしこのことなり〉江鮒、〈すばしりのちいさきなり〉沢山なる物、はも、まながつお也、されども二三匁位にて高し、黒鯛の事はちぬと申候、〈和名抄にもちぬとあり、古名なり、〉
一此節鰹有之候、例年初鰹位の季候は十月比なり、
十月〈○享和元年〉七日 大田直次郎
島崎金次郎様
長崎状
一鯛二三十文、〈四十文では大鯛なり〉鱚〈大七八寸〉八文七文糸より鯛十六文程、鰺〈大八九寸見事にて〉十三四文、まぐろ鰯のるい、却て高く御座候、肴より野菜高し、油一合〈五十六文〉是計高直、其余下直なり、
九月〈○文化元年〉廿九日 大田直次郎
島崎金次郎様