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金魚養玩草
金魚のものがたり
或老人の雲、金魚は人王百五代後柏原院の文亀二年正月廿日、はじめて泉州左海の津にわたり、珍敷事なりとて、其由来おしるしたるものありけるに、いづれの時にか、其書失侍りける、其金魚のたまごかなたこなたに残り、今はた至らぬくまもなく、世に盛になりぬ、其色の赤は天性陽気お受たるものなれば、めでたき御代の例の物ならずやと語られしも、今は年ふりて宝永四年の春三月としるしたる反古お取出して、今援に来由おしるす、