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嬉遊笑覧
十二/禽虫
五元集藻の花や金魚にかゝるいよすだれ、不角が撰に、ちよろけれど覗きの地ごくまのわたり、硝子の中金魚肺肝、今金魚や処々にあれども、本所にはわけて多し、冬月は池沼に養ひ、四月の頃よりたゝき土の池舟にうつして子お産しむ、松藻の長きお少しづゝ、池舟の内処処置、根お小右などにてとめおく、卵おうみつくれば其藻お他の器にうつし、日あたりに出しあたゝむ、しからざれば魚ども卵お食ふ、魚苗はそり毛の如し、雞卵おゆでゝ黄みおときて与ふ、やや育ちたるには、みじん子とてぼうふりの子、糠の如細なる虫溝中にあるお采て飼、その後常の紅虫お与ふ、魚は諸品ともに始はみな黒し、やう〳〵色変りて黄になり赤くなる、金色は黒き時よりあり、