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守貞漫稿
六/生業
錦魚売(○○○)
金魚は紅色の小魚池中及び盤中に畜て観物とす、三都ともに夏月専ら売之、又錦魚に異種あり、形小尾大にして大腹の者あり、常に尾お上に首お下に泳ぐ、京坂これお蘭虫(○○)と雲らんちう(○○○○)と訓ず、江人これお丸子(○○)と雲、まるつこ(○○○○)と訓ず、腹大にして形鞠に似たる故に名とす、又まるつ(○○○)と雲は江人の訛也、又大腹に非ずして尾大の者お、三都ともに朝鮮(○○)と雲、又常体丸子朝鮮ともに、各必ず尾は三尖也、三尖の者は鯉に類す、故に緋鯉と雲、緋鯉錦魚三種ともに、紅あり、白あり、紅白お交るあり、黒斑もあり、丸つ子朝鮮等貴価の者は価金三五両に至る、又此賈京坂は必ず各々白檰の手甲脚半甲掛お用ふ、江戸は定物なし、又京坂は錦魚桶上に柳合利一箇お置く、是皆旅人に扮する故也、而も三都とも各畜之て製する元店あり、