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東雅
十九/鱗介
鮊魚しろお〈○中略〉広雅に拠るに、鮊は鱎也、即説苑にいふ所の肉薄而不美者、漢語抄にいふ所の者とも見えず、漢語抄にいふ所は、鱠残魚に似て小しきなる銀魚といふものゝ、即今しろいおといふものに似たる也、又考声切韻お引て、 km0000m01842.gifはこほりいお(○○○○○)小魚名也、似鮊魚長一二寸者也、今按俗言氷魚是也と注せしは、亦俗にいさヽ(○○○)といふ者の類なり、しろおとは白魚也、こほりいおとは氷魚也、いさヽといふは、いは発語の詞也、さヽは小小(さヽ)也、〈鮊魚は長六七寸の者と見えたり、此にいふしろおなるべしとは見えず、即今しろいおといひて、鹹淡水の間に生ずるものは、大なるものも僅に三四寸には過ぎず、即是江陰常熟等志に、銀魚似鱠残魚小者と見えしもの、俊水朱氏も、此にいふしろいおは即銀魚也といひき、東璧本草閩志等の如きは、銀魚は絵残魚の一名となしけり、爾雅翼に拠るに、鱠残魚は長五六寸、身円如筋、漂白無鱗、但目点黒と見えたれば、此にあるものにはあらず、朱俊水も此にしろいおといふものゝ、大なるは長七八寸なるもあるなりといひき、江陰常熟等志に見えし所は、鱠残魚銀魚大小各別れしものとなして、本草閩志の一物也とせし如くにはあらず、〉