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橘庵漫筆

京師へ出る若狭小鯛(○○○○)と称するものは、たとへば飯蛸の夫限に而、大きくならざる如く、それ限の小鯛なり、鯛の中に別種なり、年始に用ふる対馬小鯛は、常の鯛の子なり、小鯛ならず、依て風味お若州のものとは大に相違せり、無塩にて京大坂に小鯛と称する物みな鯛の子にして小鯛ならずと若狭の人はいへり、