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魚鑑

きす〈○中略〉河海の二種あり、海産のもの、その状少く円く肥へ色白く、大四(さ)五寸にすぎず、四時共にあり、即、まぎす(○○○)といひ、一にしらきす(○○○○)、又海ぎす(○○○)といふ、その肉潔白にして味甘美し、最上なり、〈○中略〉又川ぎす(○○○)、青ぎす(○○○)は同種なり、形ち円くこへふとりて、吻尖り尾にいたりてほそれり、或は碧色お帯ものあり、味ひ佳といへども小毒あり、病者は忌べし、又黒白の虎斑ありて、頭丸く状はぜに似たるお虎ぎす(○○○)といふ、肉白く味ひ淡し、生稔ともによし、又沖ぎす(○○○)あり、状きすに似て目丸くこけ深く、大尺(さ)余に及ぶ、味ひよしといへども、腥気あり、食料とならず、隻魚餅の上覆に用ゆ、これ一類別種なり、