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比古婆衣

口女(○○)
鯔は〈○中略〉俗に菩良また伊勢鯉ともいへり、〈○中略〉此魚延喜式諸国の送御、まだ御饌の料などにもすべて載られず、其ほか古書どもに怠、然る例見えたることなし、〈○註略〉さてまた此魚おなよしといふは名吉の義にて、〈運歩集に名吉又伊勢鯉〉かの不得預天孫之饌、即以口女魚所以不進御者、此其縁也、とある古事お、忌々しみて、此お食料とするうへに、言忌して名吉と呼かへたるものなるべし、〈出羽の秋田わたりにては、みやうけち(○○○○○)ともいふとそ、名吉と書く字音の訛れるなり、〉