[p.1405]
応仁記

今出川殿勢州下向之事
室町殿は〈○足利義政、中略、〉京都の依忿劇、御台所坂本へ御忍有て御暇乞の御対面御一献有、〈○中略〉御舟十二艘にて、廿四日〈○応仁元年八月〉明、方に江州山田の浦に御著ありけるに、雑嘗船に鮓と雲魚一尺計成が飛入け叺、疎忽なる者取て海へ投入ければ、又鱸一つ入けり、〈○中略〉本朝には平の清盛公熊野参詣之時、舟へ鱸飛入けるお天に祭て、後に太政大臣お極め、天下お治て振其威、吉例一方ならずとて、是お料理て御酒もり有けり、