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今昔物語
十二
於東大寺行花巌会語第七
今昔、聖武天皇東大寺お造り給て、先づ開眼供養し、給ふに、〈○中略〉其の日の朝、寺の前に使お遣して令見め給ふに、一人の老翁籮お荷て来れり、其籮には鯖と雲魚お入たり、〈○中略〉天皇然ればこそ、此れは夢の告有れば、隻者には非りけりと信じ給て、此の籮お見給へば、正しく鯖の入たりと見えつれども、花厳経八十巻にて御ます、