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物類称呼
二/動物
鰯いは(わ)し おむら(○○○)、〈女詞也〉おほそ(○○○)、〈同断〉あかいわし(○○○○○)といふ物は塩につけたるお雲、肥前の長崎にてからがき(○○○○)と雲、中国にてやすら(○○○)と雲、
鰻ひしこ(○○○)いはしの属也 相摸及西国にてかたくちいわし(○○○○○○○)と雲、又片口(○○)と計もいふ、駿河にてくだいわし(○○○○○)と雲、上総にて小いわし(○○○○)、下総、及常陸にてせぐろ(○○○)とよぶ、今按に上総の国にて小いはしと称すといへども、子の字の義にはあらず、又鰯の小きおも小いはし(○○○○)といふ、秋おもて気とす、是にまがふなり、ひしこお雲は小きいはしの如しと雲意なるべし、又西国の産物に銀ひしこ(○○○○)と雲有、是はこゝに雲鯷にはあらず、鱰(しいら)といへる魚の子お塩漬になしたる物也、又鯔の小しき物お製したるおもいふ也、なお蟹の条下お合せて見るべし、又ごまめ(○○○)と雲物有、是はいはしにてはなし、ひしこの干たる物也、相摸及越後奥の津軽にて干鰯と雲、仙台にてひいご(○○○)と雲、加賀にてかいぶし(○○○○)と雲、九州にてすぼし(○○○)、又片口(○○)とも雲、伊賀及伊勢出雲又奥州の内にて田つくり(○○○○)と呼、按にごまめとは常の称号也、春の始に小殿原又田作りなど唱へて祝し侍る、是稲梁お植る物、干鰯干鯷おもつてす、故に田つくりの名有、又すぼしと雲、るは、簀の上に干お雲也、