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塵塚談

松魚といふ魚は、伊豆相摸水戸岩城平辺に、多くあつまりし魚なりけるに、文化七午年頃より南部松前辺にて多く取れる様になれり、同十酉年の夏は、伊豆相摸には至て少し、水戸岩城辺はかはれる事もなきよし、伊豆相摸の海おば、遠沖お廻り東海へ出しと見へたり、是天地の気の南より北するともいふものにや、