[p.1466]
古事記伝

和邇〈○中略〉此魚の事、古書に多く見ゆ、〈宇治拾遺に、虎の海へおちいりける足お、和邇のくひきりけるお、その和邇つひに虎にくひ殺されたる物語なのせたり、〉甚大なるが有と見えて、記中に八尋和邇などあり、〈漢籍にも長三丈など見ゆ〉又熊鰐とは、其猛お雲る称なり、凡て熊某と雲は、みな猛お雲る例なること、上熊曾の処〈伝五の十六葉〉に雲が如し〈凡て北国の海には、今も和邇多しと雲り、又遥西の外烟にも、此魚多き処ありと雲り、〉