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採薬使記

重康曰、加州越川の海中にあやかし(○○○○)と雲ふ魚あり、其形ち鮧に似て、小きは一尺ばかり、大きなるは一丈計も有り、全身鱗なく、頭の上に円く高き所ありて、段々の象あり、小判のきざの如し、故に一名小判魚(○○○)とも雲ふ、其魚多く集りて、彼のきざの所お船に吸つけて船おとむることありと雲、 光生按ずるに、此魚東国にていまだ見ず、江都にて希に小判鮫(○○○)と雲ふ魚お捕り得ることあり、 形状大抵相似たり、あやかしと同物か、或曰利瑪竇が坤輿図に載する所の、咽機哆なるべしと 雲へり、