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冠辞考
二/伊
いすぐはし 〈くぢら〉
くぢらは鰐などの如く畏げにはあらねど、潅南子に、これお魚王也ともいへる如く、大(おほ)魚の長なれば、ほめて勇魚(いすな)とはいふべし、さて本のくぢらてう名に、ほむる辞お冠らせたまひしなり、伊斯(いす)は伊左武(いさむ)なるお左武反須なれば、つゞめて伊須といへり、仍て万葉に、其お勇魚と書り、久波斯(くはし)とは、名細(なくはし)、花細(はなくはし)などいふ如く、其物おほむる語なり、