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重修本草綱目啓蒙
三十/無鱗魚
鱓魚 うつぼ(○○○)〈紀州〉 うみぐちなは(○○○○○○)〈豆州熱海〉 なまだ(○○○)〈房州〉 一名単長福〈事物紺珠〉 冬乙藍虚里〈郷薬本草〉 鱒鰻〈正字通〉
鱣は俗字鱣同鱓、本草李時珍鱣音旦誤と正字通に言へり、うつぼは南海にあり、鱗なく海鰻鱧(はも)の形に似て、黄質黒斑目至て小し、その歯甚鋭なり、漁人これお畏る、賎民捕食ふ、大なる者は径三寸なる者あり、一種こめうつぼ(○○○○○)は全身紅色にして深紅斑あり、海中に游泳するもの甚美観なり、此条おあなごと訓ず、穏ならず、