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塵塚談

河豚鰶魚、我等〈○小川顕道、享保頃人、〉若年の頃は、武家は決て食せざりしもの也、〈○中略〉河豚は毒魚おおそれて也、二魚とも卑賤の食物にて、河豚の価一隻銭拾二文ぐらい、鰶魚は二三銭にて有しが、近歳は二魚とも、士人ももてはやし喰ふゆえに、河豚は上市(はしり)一隻弐百銅三百銅にして、賤民の口へは思ひもよらず、〈○中略〉河豚も乾ふぐは、貴富も少しもおそれず喰ふ、