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一話一言
十一

鰰(はた〳〵) 魚の形少さく、鱗の中に富士山のもやふお生じ候故、めでたき魚と祝し、文字はいつごろよりか、魚篇に神と書なり、もとは常陸の水戸に生じ候、秋田へ国替お仰付られ候て、秋田の先祖秋田へ被越候節、領主につきて右の魚も秋田へこし候よし、秋田杉直物語にみへたり、〈秋田家那阿思左衛門と〉〈雲る姦臣、国お乱る事お記せる俗記也、〉