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東雅
十九/鱗介
鰕えび〈○中略〉 義不詳〈えびとは其色の蒲萄に似たるおいひ、俗に海老の字お用ひしは、其形の老人の長鬚傴婁たるに似たる故也、あみとは即小鰕也、東璧本草に、鰕凡数種、米鰕、糠鰕、青鰕、白鰕、梅鰕、泥鰕、海鰕、天鰕あり、又閩中の五色鰕、両々乾之、謂之対鰕と見えたり、ま六閩中の産に、赤鰕、黄鰕、河鰕、水潢鰕、斑節鰕、狗鰕、蘆鰕、竜鰕、苗鰕、醤鰕等の名見えて、此余綠鰕、蚕鰕、謝豹鰕の如き、凡三十余種、其方俗に随ひて、名異にして物同じく、物異にして名同じきもありと見えたり、此に産する所も其類殊に多し、それが中、海鰕は此俗にいふうみえび、又はいせえびなどいふものなり、其大きなるものお、竜鰕といふと見えたり、閩志によれば、対鰕は泥鰕の大なる者な、対し挿むなり、朱俊水は対鰕とは、是お煮る時は、頭尾相対する故なりといひき、此説の如きは、此にいふくるまえびといふ者此也、〉