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重修本草綱目啓蒙
三十一/亀鼈
鼈 かばがめ〈和名抄〉 どうがめ(○○○○)〈同上予州〉 すつぽん あしなえがめ(○○○○○○) がめ(○○)〈肥前、筑前、能州、加州、越後、〉 どんがめ(○○○○)〈畿内〉 とんがめ(○○○○)〈備前〉 だんがめ(○○○○)〈同上〉 わがめ(○○○)〈防州〉 まがめ(○○○)〈同上〉 こがめ(○○○)〈四国〉 とち(○○)〈尾州紀州〉 どち(○○)〈江州〉 どろがめ(○○○○) どろす(○○○) とろそ(○○○)〈共同上〉 どんす(○○○)〈丹波〉どうつ(○○○)〈参州〉 どつち(○○○)〈勢州〉 どうぐはん(○○○○○)〈阿州〉 まんどう(○○○○)〈播州〉 はつは(○○○)〈東国○中略〉
池沢江湖中に多し、形亀に類して、四辺に肉裙あり、首は亀の如にして、口尖り出、小魚及蝦蛙お食ふ、その脊は穹隆にして、横紋あり、これお肋と雲、春月は陸二出、沙土お掘りて、卵おその中に埋む、形円小にして金柑の如し、夏秋に至り、化して小鼈となり出づ、今の人嗜食もの多し、卵も亦食べし、肉性温補すと、大和本草に雲り、四季にこれお採る、特に夏多し、池中田中の者は味佳ならず、湖中の者は味佳也、然ども磯にあるものは底色黒し、沖にありて底色黄なるお上とす、又一種底色白くして、黄色なきものあり、もちどんがめ江州と雲、味至て良なり、肉も厚し、琵琶湖には径二尺許なるあり、竹生島辺には、至て大なるものありと雲、又白鼈(○○)あり、希なり、