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閑田耕筆

同じ〈○守興〉和尚備前の下津居より、船にて丸亀へ渡る海上、丸亀近くなりて、遥むかひに、五尺計なる黒き水尾つくしみゆ、さも深かるべき所に、いかに長き木おうちこみて、かく見ゆる計にやとあやしくて、船頭にとはれしかば、船頭見て、あれは大亀の首お出したる也、空曇なく海のどかなる日はかく首お出し、あるひは全身おも見す、昔より大小二亀住て、大なるは廿畳敷のほどもあらん、小なるもさのみは劣ず、このものゝ住るが故に、こゝお丸亀とは名付たりと語りしとぞ、