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重修本草綱目啓蒙
三十一/亀鼈
朱鼈 どうまん(○○○○)〈備前〉 ぜにがめ(○○○○)〈防州〉
備前岡山に多し、腹下赤くして朱の如し、雲州には海水の川に通ずるところにあり、形状鼈に似て鼈に非ず、亀に似て亀に非ず、大さ一寸余、腹赤色微黄にして黒点あり、人背に粘著して沈めしむ、故に土人見れば必捕へて殺す、世に水虎(かはたろ)の人お捕ふと雲もの、多くは此物の為すところなりと言ふ、此鼈お畜ふに、年久くなりても大にならず、又尋常の鼈の色赤ものは、筑前に希にあり、腹も赤し、大さ六寸許あわと雲、