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大和本草
十四/介
亀〈○中略〉 亀肉は食ふべからず、亀甲、亀板は一物なり、二物にあらず、薬に用ゆ、古の亀とは腹の板お用ひ、以荊やく、其文によりて、吉凶お知る法あり、今按亀甲は石がめの腹下の版お用ゆべし、背上の甲お不可用、本草又称敗亀板、亀甲も亀板も同物也、大明曰、卜亀小而腹下曾鑽十遍者、名敗亀版、入薬良、亀の背腹上下共に甲と雲、然ども亀甲は即亀板、腹の下の板なり、敗亀板とは亀とに久く用たる腹下の板お雲板も亦甲と雲背の殻には非ず、蘇容曰、殻円版白者陽亀也、是殻は背の甲なり、版は腹の甲なり、時珍曰、厴は可供と、殻可入薬、則古者上下甲皆用之、至日華始用亀板、而後人遂主之矣、今按本草主治にも殻と板とおわかつ〈○中略〉本邦薬鋪往々以亀背上甲為亀甲、今考数書、決可以腹下版為亀甲也、