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重修本草綱目啓蒙
三十一/亀鼈
蟹 かに がに(○○)〈備前讃州〉 が子(○○)〈讃州○中略〉
蟹に淡鹹の産ありて、品類甚だ多し、鹹水に産するものは、うみがに(○○○○)と雲、淡水に産する者は、かはがに(○○○○)と雲ふ、皆性直行することあたはずして、横に走ること速なり、故に横行介子の名あり、両手に鉗あり、これお螯と雲、その次に八足あり、これお跪と雲、皆尖れる爪あり、殻は堅く厚くして脆し、時々蛻して、新殻に換え、その眼は外に出、鰕の眼の如にして堅し、これお骨眼と雲ふ、腹には横紋あり、是お蜩腹ど雲、腹下には巻反したる厚き殻あり、これお臍と雲、〈○中略〉臍に闊狭の、別あり、狭長なるは雄なり、これお尖臍蟹〈東医宝鑑〉と雲ふ、闊円なるは雌なり、これお円臍蟹〈同上〉と雲ふ、その性驚やすし、月明なるときは、穴に蟄して出て食はず、故肉少し、暗夜には出て食ふ、故に肉多し、