[p.1599][p.1600]
物類称呼
二/動物
蝦魁(○○)がさめ畿内にてがざめといふお、江戸にておゝがに(○○○○)、又海がに(○○○)と雲、又西国にてかざみと雲は、甲菱形にして、甲のまはりのこぎりばに似たり、一種蟛螖(あしはらがに)あり、江戸にてこめ(○○)きがに(○○○)と雲、西国及四国にて田うちがに(○○○○○)と雲、古歌にいなつきがに(○○○○○○)とよめるは是なり、一種豆蟹(○○)、又蜘蛛蟹(○○○)と俗に雲、備前小島にていぞ〳〵(○○○○)といふ、今按に豆蟹小にして形丸し、又其かたち蜘に似たり、蛤好て是お喰ふ、又蟹の小なるお蜘がに(○○○)と呼、蜘の小なるおさゝがに(○○○○)と呼こそおかしけれ、参州にて岩蟹(○○)と雲、塩辛とす名産也、〈○中略〉又薩州指宿(いぶすき)の浜に、藻蟹(○○)とて小き蟹お産す、寸許にして円也、総身紅色、此蟹塩辛に製して、其色変ぜず、甲及八足やはらかにして気味香く、寔に上品なる物也、又雲藻蟹は藻或はひじきなどに住物也、〈○中略〉
鬼蟹(○○)おにがに 摂津にて島むらがに(○○○○○)といふ、兵庫及播州にて武文がに(○○○○)と雲讃州にて平家蟹(○○○)と雲、加賀越前にて長田がに(○○○○)と雲、