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大和本草
十四/介
鱟魚 海辺にあり、西州にてうんきうと雲、又かぶとがにと雲、其形かぶとに似たり、〈○中略〉足は腹下の左右に各五あり、合十あり、足のさきに皆はさみあり、蟹の足に似たり、腹に広き薄片六ありて、かさなりつヾけり、蝦の腹の薄片の如にして大なり、腰につぎめありて、てふつがひの如く折れかヾみ自由なは、尻の方のめぐりに長き刺多し、形大なれども肉少なし、人食せず、海辺往々有之、其甲は鼈の如く円し、又蟹の甲に似たり、魚の類にあらず、鼈蟹の類なり、〈○中略〉殻は用て舟の中の水おくむ、尾長し、尾の末用て、灯心の杖とす、其口足尾ともに人お傷らず、雌は雄お負て海に入る、