[p.1614][p.1615]
藻塩草
十三/虫

花貝 梅花貝 桜貝 こ貝〈むれてひろふなどもいへり〉みやこ貝 ますおの貝〈又ますおの小貝とも〉 むらさき貝忘貝 ちくさの貝 なでしこ貝 袖貝 われ貝 かたし貝 せみ貝 あま貝 ふな貝いたや貝 ほら貝 みなし貝いそ貝 みそ貝〈江のよどにみそかいひろふうなひこがたにふれにだにとふ人もなし〉 やく貝すはう貝 しほ貝〈しほかひひろめあつあなど雲り、しほかひとはしほにまじる貝也、しほふくかひと雲貝もあれど、それは別の物也、歌おしりあつむるにとれるなるべしと雲々、〉 うつせ貝〈身もなき也、いづれのうらのうつせにかまじはりけんと雲々みるめにまじるうつせかひとも雲り、〉いろ貝 こやす貝 ふとくろ貝〈ふとくろは心得す、ふところ也、ふところ歟、ふとこうかひと雲は、おほいかひの事也と雲々、仍私に雲、くとこと同事也、しからば、隻ふとくろもたがふべからざる也、〉 からす貝 すゞめ貝 すだれ貝 うらうつ貝〈たつさはくあしのもとはおかき分てうらうつかひおひろひつるかな〉 きすかく〈かひの名也、かくとはすなごおかきのけて取お雲也、よさの海のしほひのかたのすなこおかけば、きすかひありと雲々、蔵玉にあり、〉浪間かしは〈岩とかきこと雲かひ也、なにはめがなみまかしはおとるほどに日もくれ袖に月ぞやどれる、〉 いもせ貝 ひろふ 螺おさたへと雲〈さゝいと雲かひ也〉 つくえの島のしたゞみ 貝しげみ〈多也、二見の浦のと雲り、〉浪うちよせてける忘貝 つくえの島の小螺 桜かひよるみしま江のうら 時うつりしてふく螺 時つぐかひ〈かひありなきみがみ袖におほはれて心にあはぬことしなき世は、かひあはせおよめる也、〉