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東雅
十九/鱗分
貽貝いがひ〈○中略〉 いがひとは、いは即貽字の音お呼び、かひは貝の字の訓お呼びしと見えたり、〈(中略)むかし或人の雲ひしは、いかひとはあこやのかひ(○○○○○○)といふ者也、其貝より出でし珠おばあこやのたまと雲ふなりといへり、後に西行法師の歌お見るに、あこやとるいか〉〈ひのからおつゝみおきて宝のいとお見するなりけり、とよみたり、さらば今あこやのかひといひて、其殻のはまぐりといふよりは、長くて黒きが、かの珠お産じぬる蚌といひしもの是也とぞ見えたる、〉