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重修本草綱目啓蒙
三十一/介
海蠃〈○中略〉
鸚鵡螺は、あうむがひ(○○○○○)、一名ふめつのかひ(○○○○○○)、うけつ、〈大和本草、相州、〉諸州深海底にあり、潮尽の時、これお得こと、あり、形円にして扁く、高さ三寸許、闊さ七八寸許、尾平にして尖なく、大抵扁螺(したヾみ)の形に類す、色白くして紫黒色の斑絞あり、その口闊くして厴なし、深さ三寸許にして底あり、平にして一小孔あり、是お折破れば、又底あり、末に至るまで、凡数十底、皆一小孔あり、故に数年お経といへども、潮水涓滴して息まず、然ども口殻薄くして、破れ砕け易く、全き者あること希なり、