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重修本草綱目啓蒙
三十一/蚌蛤
石蜐 しい〈大和本草〉 ぜい(○○)〈筑前、今はしいと呼ばず、〉 せい(○○)〈同上、佐州、土州、〉 かめのて〈紀州〉えぼしがひ(○○○○○)〈勢州〉 いわのつめ(○○○○○)〈播州〉 じゆみがひ(○○○○○)〈丹後〉 おにのて(○○○○)〈同上〉 いわのせい(○○○○○)〈肥前〉たかヽふと〈○中略〉
海岸石縫中に生ず、一箇離て生ずるもあり、数箇或数十箇叢生するもあり、その石に粘する処は茎也、頭闊く扁して、手腕の如して、茎と倶に細鱗あり、其中以上は五の扁く尖れる、爪甲相比びて、亀の脚の形の如く白色也、小なる者は五六分、大なる者は一寸許、腕茎は倶に綠色なり、春間爪中より紅肉お吐し花の如し、〈○下略〉