[p.1686]
新著聞集
十八/雑事
大蚫光おはなつ
完文五年、房州平群郡の内、亀崎の海中俄に光りかゞやきて、海士の仕業もやみて、いかゞすべきと歎きしに、老たるものゝ雲しは、若き輩はせん方しるまじ、いで某見とゞけんとて、その光り二町ばかり隔て、海に入り、かの辺おうかゞひみれば、七八間ほどの蚫なり、すさまじなどいふばかりなし、あたり近くは、中々よりがたしとて帰りしが、其後行方しらずなりし、