[p.1693]
重修本草綱目啓蒙
三十一/蚌蛤
寄居虫 かみな〈和名抄、蟹蜷の意、〉 がうな〈今名〉 やどかり 〈大和本草〉かにのやどかり(○○○○○○○) かにもり(○○○○)〈佐州〉 いそもの〈豆州駿州〉 かなづう〈上総〉 ほうざいがに〈肥州〉 さヾいやどかり(○○○○○○○) かとうし(○○○○)〈薩州〉 あまん(○○○)〈琉球〉 一名附螺〈典籍便覧〉 寄生蝦〈閩書〉 寄生蠃〈広東新語〉 借屋蝓 螯 多足蠃 窃蠌 屋蠌〈共同上〉
海涯に生ず、潮已に去り、余水凹地、或は石間に残りたる処に多し、頭は蝦に似て、両螯に、鉗(はさみ)あり、足に爪あり、腹は微長くして草蜘蛛の如し、空殻螺中に寄居し、これお負て走ること甚早し生螺の行くこと遅くして蝸牛に似たるに異なり、若これに触れば、深く殻内に縮入す、その身漸く長ずれば、巨殻お択で遷る、又螺卿に似て厚殻なるものあり、此虫多くは此殻に居る、故螺もがうなと名く、