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源氏物語
七紅葉の賀
二月の十日あまりの程に、おとこみこ生れ給ぬれば、名残なく、内にも宮人もよろこび聞え給、命ながくもとおもほすは、心うけれど、弘徽殿などの、うけはし(○○○○)げにの給ふとききしお、むなしくきゝなし給はましかば、人わらはれにやと覚しつよりてなん、やう〳〵すこしづゝさはやい給ひける、