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安斎随筆
後編一
一嚏のまじなひ 嚏(はなびる)〈くさめの事也、俗にはくしやみと雲、〉は凶事也とて、まじなひおする事あり、徒然草に、くさめくさめと雲てまじなふ事見えたり、くさめと雲は、はなひる事にはあらず、はなひる時のまじなひの詞也、又下賤の人は、はなひる時、まじなひ也とて、くそくらへと雲、拾芥抄に、嚏る時の容に、休息万命、急々如律令と見えたり、休息万命お、くそくまんみやうとよむお誤り伝へて、くそくらへと覚えたがへたるものなるべし、