[p.0069]
真俗仏事編
一祈禱
護符〈真言の文字お加持して、呑しむれば病差、其本説お問、 答曰、三種悉地軌雲、五部真言(梵字略)是一切如来無比甘露之珍漿、醍醐仏性之妙薬、一字入於五臓、万病不生、況修日観月観雲々、深義此軌に説が如し、 穢跡金剛法禁百変法門経お考ふるに、金剛力士、自の呪お説訖て、神変の符四十二お説けり、其符たるや、或は水火の災には、書て擲之、其災お免れ、或は呑之、万病お治し、長寿益智等の種々の符あり、 深秘なれば今其符お不出 護符之字義お問、 答曰、彼経曰、穢跡金剛説此符已、大衆同声讚言、善哉大力士、女能説是大妙之法、爾時金剛白諸大衆、当知我於此法流行之処、我等大天、当護此行法之人助成就と雲へり、故に名護符、 経文の護の字に著眼 又余真言種子等お書ける秘符は、其尊の加持護念し玉ふ所なれば、亦名護符、 此に意お可知 按ずるに、符と名くる道家の文字お仮用るか、凡そ密家の法に、道教の術に似たるもの有ときは、飜訳家借用るもの多し、陀羅尼お呪と雲類の如し、今の護符も、道家の符に善似たるお以て其名お採れり、 抱朴子雲、鄭君言、符出於老君、皆天文也、老君能通於神明、符皆神明所授令人用之、少験者、由於出来歴久伝写之多誤故也、又信心不篤施用之亦不行、〉